■車両制限令の制定と改正・・・ |
■車両制限令の制定(昭和36年) |
車両制限令は、道路法に基づく政令として昭和36年7月に制定されました。車両の重量、幅等の最高限度は、戦前から「自動車取締令」「道路取締令」において規定されていましたが、これらは昭和23年に廃止されました。昭和27年に現在の道路法が制定され、第47条第1項で「車両についての制限に関する基準は政令で定める」とされましたが、しばらくの間は政令が未制定のままでした。その後、狭い道路を大型車が走行することによる重大事故が続発した事などを背景として道路法制定から10年を経て、昭和36年7月17日に政令第265号として車両制限令が制定されました。制定時の車両制限令における車両諸元の最高限度は次の通りです。
・幅 |
2.5m |
・重量 |
総重量 |
20t |
軸重 |
10t |
輪荷重 |
5t |
・高さ |
3.5m |
・長さ |
12m |
・最小回転半径 |
12m |
|
■昭和46年改正 |
昭和40年代の経済成長、道路交通の増大などを背景に、交通安全対策の強化を目的として昭和46年に道路法が大幅に改正されました。これに伴い同年7月22日の政令第252号により車両制限令の改正が行われました。
①特殊車両の通行許可制度の導入
改正前の車両制限令では、車両諸元の最高限度を政令で定めるとともにそれを超える車両については「認定」により対応していましたが、道路法改正により車両諸元の最高限度を超える車両については通行を禁止することとし、車両の構造が特殊または積載する貨物が特殊なため当該通行がやむを得ないと認めるものについてのみ通行条件を付して通行を認める許可制度を導入することとなりました。また複数にまたがる道路の申請については、それぞれの道路管理者に申請することとなっていましたが許可制度の導入をもって、複数の道路管理者への許可申請について、申請窓口を一元化するとともに他の道路管理者への協議に要する手数料についての規定などが設けられました。また、トンネルや橋などにおける高さや重量の制限を超える車両についても算定限度内(特殊車両通行許可限度算定要領)で許可の対象とされました。なお、車両諸元の最高限度を超えないが狭小幅員道路等における個別的制限基準に適合しない車両については従来通り認定によることとされました。
②高さの最高限度の引き上げ
車両の高さの最高限度が3.5mから3.8m引き上げられました。
③セミトレーラ 連結車に係る特例の導入
バン型コンテナ用のセミトレーラ 連結車に限り総重量の最高限度が高速自動車道では34t、その他の道路では27tまで引き上げられたほか高速自動車道を通行する場合のセミトレーラ
連結車の長さの最高限度が16.5mに引き上げられました。
④違反車両に対する罰則の直罰化
改正前は、道路法に違反した車両に対する罰則の適用には事前に道路管理者の措置命令が必要でしたが、改正後、直接罰則が適用できるようになりました。 |
■平成5年改正 |
昭和46年の車両制限令の改正以来20年が経過しましたが、その間の道路交通の発達はめざましく、特に、高速自動車国道の整備に伴い、陸上貨物輸送に占める道路輸送の役割は、著しく増大しました。それに伴い貨物自動車の大型化や車両形態の多様化が進み、車両制限令の制限緩和を求める声が大きくなってきました。昭和63年の行革審(臨時行政改革推進審議会)の答申においても「車両諸元に関する制限緩和について、その具体的方向を早急に検討し、今後の道路整備の進捗状況に応じて規制緩和を図るべき」との指摘がなされました。
このため第11次道路整備五箇年計画の発足を契機として、道路審議会の答申などを踏まえて、道路構造令の改正により、橋梁の設計自動車荷重が20tまたは14tから25t引き上げられたことに合わせて平成5年11月に政令第375号が公布、施行され、車両制限令が以下の通り改正されました。
①車両総重量の引上げ
車両総重量の最高限度が20tから高速自動車国道および道路管理者が指定する道路(重さ指定道路)について軸距および長さに応じて最大25tまで引上げられました。また総重量の引上げに伴い隣接軸重に関する規定が導入されました。
②トレーラ連結車の総重量、長さに関する制限緩和
高速自動車国道を通行する場合のトレーラ連結車に係る総重量の特例が34tから36tに引上げられました。特例の対象車種も拡大され、バン型、コンテナ用セミトレーラ連結車に加えタンク型、ほろ枠型、自動車運搬用のものが追加されたほか、これら5種類のフルトレーラ連結車も対象となりました。従来は、軸数が3以下または軸重が9tを超えるトレーラ連結車にはこの特例は適用されませんでしたが、隣接軸重の規定が導入されたことに伴い、車両の通行の許可の手続きを定める省令が改正され、この制限は撤廃されました。
長さの特例としては、高速自動車国道を通行する場合のセミトレーラ 連結車の長さの最高限度が16.5mになっていましたが、これに加えてフルトレーラ連結車については18mまでの特例が導入されました。 |
■平成16年改正 |
車高については3.8mが一般的制限値として定められていましたが、昨今の物流の多様化、経済の活性化を背景に物流の効率化を目的とする規制緩和要望の高まりを受けて、平成15年3月には「規制改革推進3カ年計画」として閣議決定され、平成15年度中に検討・実施すことと位置付けられました。一方、これまで背高海上コンテナの通行許可にあたって導入されてきた指定経路(車高4.1mまで通行可能)ネットワークも平成15年4月時点で約30,000kmに達し、車高の規制緩和は可能と判断されました。その後背高車両、通行経路の安全性などについて検討を行い、平成16年2月に以下の通り政令改正が行われました。
①車高制限の緩和
政令に定める車両の高さの最高限度について、道路管理者が道路構造の保全及び交通の危険防止上支障がないと認めて指定した道路(高さ指定道路)を通行する車両にあっては4.1mに引上げを行いました。。なお、その他の道路を通行する車両にあっては従来からの3.8mとしています。
②手数料
複数の道路管理者にまたがる申請について国土交通大臣が許可に関する権限を行う場合の(協議)手数料は1件(5経路)につき、1,500円としていましたが、1通行経路につき、200円に改正されました。(平成17年4月施行)
|
|
|